英語が話せると世界が広がるか?と聞かれたら、私は「はい、広がります!」と即答します。
しかしそれよりも何よりも「英語が話せると自分を好きになれるよ」と伝えるでしょう。
「私は英語が話せない」と思い込んでいた私

私は子どものころから、これ!と思ったら一直線の猪突猛進型。いい言い方をすれば「意思が強い」、別の言い方をすれば「思い込みが強い」タイプです。
それが吉とでるか凶とでるかは、場合によりけり。
13歳で映画の字幕翻訳家になると決めて、15年かけてその夢をかなえたのも、絶対にあきらめるもんか!という一直線な性格ゆえでした。
でも「英語が話せない」というコンプレックスでガッチガチになってしまったのも、思い込みが強かったせいなのです。
これは「自分は英語を話さない人間だ」とレッテルを貼っているようなもの。そして、このレッテルを剥がせるのは、自分だけなのです。
きっとあなたは、マジメで謙虚で頑張り屋。英語が話せるようになりたい!と真剣に悩んでいるはずです。
あなたが英語が話せなくて苦しいのは、あなたが自分の人生に誠実に向き合っているから。自分が成長できることを信じているからです。

英語は長所が裏目に出る

英語ができるようになりたい!と努力する人(私も含めてます笑)は間違いなく:
マジメで謙虚で頑張り屋
この長所が英語では完全に裏目にでます。

Your English is great! (あなたの英語、すばらしいですね!)



You speak English very well.(あなた、英語上手ですね!)
とほめられても、きっと「いえいえ、とんでもない」と謙遜するはずです。ホント、自分に厳しいんですよね。
しかし、そもそも「英語が話せる」というのはどういうことなのでしょうか?
憧れる存在があるのはいいことだけど
日本にいると「英語が話せる」=「バイリンガルみたいによどみなく流暢に英語を話す」という意味が浸透している気がします。
実際、私はそう思っていました。1988年に始まったJ-waveの朝番組「Tokyo Today」でDJをやってたジョン・カビラさんが私の憧れだったんですよ。
補足:VoicyとStandFMでは1998年と言っていますが、1988年の間違いです!



こんなふうに日本語も英語も同じようにペラペラに話せたら、どんなにステキだろう!
特に、突撃電話コーナーが大好きだったんですね。世界で起きた面白いニュースをとりあげて、その当人に予告なく電話をかけてインタビューをする、というコーナーです。
英語が話せると世界中の人に話をきくことができるんだ!と興奮しました。日本という島国に住んでいる自分にとっては、この番組と映画が世界への扉だったのです。
いつまでたっても抜け出せない魔のループ
28歳で字幕翻訳家として独立してから40歳目前にサンディエゴに移住するまでの12年ぐらいが、いちばん苦しかったです。当時はレアジョブのようなオンライン英会話がなかったので、駅前留学のNOVAにも通いました。ヒアリングマラソンも購読してました。英会話の個人レッスンを受けたこともあります。でも何をやっても英語が話せるようにならない…
「自分は(ジョン・カビラさんのようには)英語が話せない」と思っていることに、当時は気づくわけもありません。



本当は戸田奈津子さんみたいにハリウッドスターが来日したら通訳をやってみたい!という密かな野望も抱いていたのに…(今だから話せる野望です笑)
せっかく夢の字幕翻訳家になったのに、英語に対する自信が持てず、「英語が話せない」というコンプレックスは膨らむばかり。
完全に魔のループにハマりこんで抜け出せずにもがいていました。


自分の英会話力を【何と】くらべているでしょうか?
人間はくらべてしまう生き物です。
あなたが英語が話せないことで悩んでいるとしたら、次の文章の( )内に比較対象として何が入るかを考えてみましょう。
私は( のようには)英語が話せない。
私の場合であれば:
- 私は(戸田奈津子さんのようには)英語が話せない。
- 私は(ジョン・カビラさんのようには)英語が話せない。
- 私は(ペラペラには)英語が話せない。
- 私は(帰国子女のようには)英語が話せない。
いろんな比較対象がありました。
実はですね、私、54歳のときにとんでもなく大きな発見をしたんですよ!
本当にくらべているのは…!
前の段落で、( )の中の比較対象を考えましょう、と言いました。
私は( のようには)英語が話せない。
私が54歳で気づいたのが:
「日本語のようには英語が話せない」
と無意識のうちに考えている、ということです。
当たり前のようでいて、気づいたとき、めちゃくちゃハッとしたんですよね。



私、英語を日本語とくらべてる!?
日本語は母国語なので、当然ですが自由自在に操れます。あなたもそうですよね?
つまり、英語を思うように話せない、と感じるのは
日本語みたいに話せない
と無意識に感じているからだ!と気づいたんです。
フランス語やイタリア語を学ぶと気づくのですが、英語ってヨーロッパの言語に比べるとシンプルなんですよね。でも日本人にとって最初に学ぶのは英語だし、一番身近なのも英語。英語を学ぶときに比べる対象が日本語しかないのです。
生まれてこのかたずっと使い続けている日本語よりも話せないのは当たり前じゃないの!と、はっきり認識することによって肩から力がスッと抜けました。
あなたはどうでしょう?無意識に日本語とくらべていませんか?
英語を話せるか話せないかを決めるのは◯◯◯
この◯◯◯に入るのは、なんだと思いますか?
答えは「あ・な・た」です。
あなたはこんなことを言われた経験がありますか?
君の英語、ひどいね!
あなた、英語がヘタね!
おそらく、ないでしょう。
「英語が話せない」と決めているのは、あなた自身なのです。
だから「自分は英語を話す人間だ」と決めましょう!
自分の人格(アイデンティティ)を決める


私が心から尊敬する習慣づけの神、James Clear は著書 “Atomic Habits” でこう言っています。
✅ 成功する習慣は「自分は〇〇な人間だ」というアイデンティティから始まる
✅ そしてその人格は、毎日の小さな選択の積み重ねで書き換えられる
すぐに「私は英語を話す人である」と決めるのはむずかしいかもしれません。でも、毎日英語を使う(特におすすめは洋書を15分読むこと)習慣を続けることで、書き換えることができるのです。
I speak English. 私は英語を話します(話す人間です)。
この言葉を、洗面所の鏡に貼ってもいいでしょう。鏡を見るたびに声に出して読んでください。



だって I speak English.も英語ですからね!実際に声に出して言えば「英語を話す人」ということです♪
「いや、自分の英語力はまだまだだ。こんなこと言えない!」と思うかもしれません。
でもね、あなたは自分が思っているよりもずっと英語を話せます。日本語みたいには話せないだけ。
自分はどういう人間として在りたいか?どういう人間として生きるか?自分の心に聞いてみましょう。
「自分は英語が話せない」と決めるのもあなた。
「私は英語を話す人間である」と決めるのもあなたです。
他の誰でもない。決めるのはあなた自身なのです。
Do you speak English? 英語、話しますか?
と聞かれたら、迷わずこう答えましょう。
Yes, I do. はい、話します。
その答えに恥じないよう、英語を学び続けましょう。
英語習慣化の決め手
英語を学び続けるためには、勝手に努力が続いてしまう仕組み、つまり習慣化が大切。
そして、習慣にする内容を自分にとっていかに楽しいものにするかが決め手となります。
私は無類の映画好きなので、毎晩映画かドラマを観ます。できるだけ単語調べで一時停止しなくていいように、英語のボキャブラリーを増やしたいと思っています。語彙は増えれば増えるほど楽しくなりますよ〜♪



英語のキモはボキャブラリーです!
だから私は、毎朝洋書のオーディオブックを聴き、わからない単語やフレーズが出てきたらキンドルでハイライトして、天才英単語で調べています。




英語を話す自分が好きになる
「英語が話せない」と思い込んでいたころは、「英語が話せない自分はダメ人間だ」という気がしていました。
サンディエゴに移住せずに日本で字幕翻訳の仕事を続けていたら、英語が話せないままだったでしょう。そして「字幕翻訳家は英語を話す必要なんてないの!」とハスに構えた、英語が話せないことを開き直った人になっていたことでしょう。
でも私は、そんな人間になりたくなかった。コンプレックスを抱えたまま生きていたくなかった。
「英語を話す人」になった今は、かなり自分のことが好きです。自分へのダメ出しがなくなりました。
喜びポイントを見つける
字幕翻訳家として1秒4文字のルールで英語のセリフを切り捨てていたからこそ感じるのかもしれませんたが、映画やTVドラマを英語のセリフをあますところなく味わえる喜び。私にとっては、これですよ、なんといっても!
「今夜はこの映画をみよう」とワクワクしながら1日を過ごしています。感動した映画やドラマの原作本を読むことも、楽しみの1つです。
今は、英語を話すことより、英語でストーリーの世界を味わうことに喜びを感じています。
あなたも、あなただけの英語の楽しみ方を見つけてくださいね!
英語学習には終わりがない
16年以上サンディエゴに暮らしていても、英語で困ることはあります。
つい数ヶ月前、次女が車で衝突事故に巻き込まれたときもそう。事故なんて初めてだったから精神的に動揺していたし慌てていました。でも、そのときに自分が持っている英語力を総動員するしかない!という気持ちで、私なりに精一杯の対応をしました。
警察、救急隊員、事故の相手、保険会社と、なんとか対処できた自分をホメましたよ〜♪
自分にダメ出しするより、自分を「よしよし」とホメるほうが精神衛生上いいです。
警察に車を止められて、アワアワした経験を話した記事


もし英語を話すチャンスが少なかったら
日本で暮らしていて英語を話すチャンスが少ない場合は、楽しく英語を習慣にする工夫が必要です。



学ぶプロセスを楽しいものにすることが英語学習を続けるコツ!
私がおすすめしたい方法を2つ紹介します。
【1】ChatGPTで独り言を練習すること
日本語で指示をすればいい、というのがとってもラクですよ♪
【2】英語プラスアルファで習慣にする
英語「を」学ぶというより、英語「で」学ぶというスタンスは効きます!


さいごに
いかがでしたか?
英語が好きなのに話せなくて悩んでいた私が、自分と向き合いながらコンプレックスを克服したプロセスは、自分を好きになるプロセスでもあったと思います。
あなたが堂々と「自分は英語を話します」と言えるように、毎日少しずつ英語を使ってみてください。その努力は、決してムダになりません。
Thank you for reading!

