いきなり「英語脳」をめざさない!日本人必見、賢い英語の学び方。

サンディエゴからこんにちは!

脳科学Englishトレーナーのしおはまなおこです。

英語を学んでいる人、英語が話せるようになりたい人は、一度は「英語脳」になることを夢見たことがあるのではないでしょうか?

実は私も「英語脳」が夢でした。「頭の中をすべて英語にして、日本語を介さずに英語で考える英語脳になりたい」と思っていたのです。でも、あるきっかけで「英語脳」を目指さなくていいことに気づき、そこから英語に向き合う気持ちがすごくラクになったのです。

もしあなたが「英語脳になりきれない自分」を「自分の努力が足りないせいだ」と責めているのなら、きっとこの記事は助けになります。

今回は、いきなり「英語脳」を目指さなくていい理由を3つ、お話します。

目次

いきなり「英語脳」を目指すよりも、今すぐにできること

あなたがいきなり「英語脳」を目指すよりも、今すぐにできること。

それは「日本語で言いたいことの要点を意識すること」です。

英語を学びたいのになぜ日本語?と思うかもしれませんね。今から説明しますので、少しおつきあいください。

脳の中にクエスチョンマーク

私自身が「英語脳」にとらわれてました

私は、英語を話せるようになりたいなら「英語脳にならなきゃ!」と思っていました。2009年にサンディエゴに移住したのも、英語圏で生活すれば英語脳になって英語が話せるようになると思っていたから。

でもアメリカで暮らしたからって、自動的に頭の中が英語だけになるわけがないんですね。じゃあ、自分をムリヤリ英語まみれにすれば英語脳になれるのでは?と思って、英語を教える資格TESOLを取得しようと考えたのです。

でもこの講義のなかで、「母国語を活用するのは外国語学習に効果がある」という教えに出会ったんです。45才のときでした。

英語学習に母国語を活用するのは効果あり

頭をガツンと殴られたようなショックを受けた私は、外国語を学ぶ際に母国語を活用することについていろいろ調べました。長い間「英語脳」に憧れていただけに、すぐには信じられなかったのです。

英語学習に日本語を活用する学び方、というのは、英語を教える人向けに書かれている本が多いのです。だから教科書とか教本っぽくて、英語が話せるようになりたい!と思う人が読みたいと思う本ではないのです。

でも、私は自分を納得させるためにも、しっかり読んで調べました。その結果、日本人がいきなり英語脳を目指さなくていい3つの理由が見えてきたのです。3つの理由を読めば、「日本語で言いたいことの要点を意識すること」の大切さが納得いただけるはずです。

理由その1:現実的ではないから

日本で暮らしていると日本語に囲まれています。英語を使う必要がありません。英語を使うチャンスもほとんどない。いきなり「英語だけで考えて、英語で意見を言いなさい」と言われても、困りますよね?

ちょっと今、目を閉じてみてください。「頭の中から日本語を締め出してください」と言われたら、何が思い浮かびますか?目を閉じて真っ暗闇の頭の中から日本語がなくなったら、がらんどうになってしまいますよね?

真っ暗闇の中で「日本語を締め出さなきゃいけないの?」と思って、何を考えたらいいのかわからなくなる状態です。

以前のわたしは、英語だけで考えられない自分を、努力が足りない、意志が弱いせいだ、と責めていました。母国語で考えるのは当たり前のことなのに、頭から日本語を締め出せない自分にダメ出ししてたんですね。

自分にダメ出しするおばけ
真面目で謙虚な人に取り憑いているオバケ「ダメダシーノ」

本当にムチャしてました。何もいいことありません。

常に足がつかない深い海でずっと立ち泳ぎをして足をバタバタさせている気分でした。必死に頭を水の上に出している感じ、もがいている感じがありました。

自分の頭から日本語を締め出す、というのは 現実的ではないし、大きなストレスがかかります。ギリギリまでがんばって、もうダメだ!とポキンと折れて挫折するのがオチです。

帰国子女だったり、留学したりで、英語圏でまとまった期間を過ごしたことがある人は別として、日本で生まれ育ってきた日本人には、日本語をうまく活用して学んだほうが、ムリもなく確実に英語力が身につきます。

あなたはどうでしょう?日本語を活用しようよ!と言われたほうが、気持ちがラクになりませんか?

理由その2:外国語の習得には母国語を活用できるから

カナダの有名なバイリンガル教育学者であるカミングスは、母国語の大切さを、二重氷山にたとえて説明しています。

バイリンガル言語学者カミングスの二重氷山のたとえ

氷山は海面のうえに見える部分と、海面の下にかくれた部分の両方から成り立っています。この図全体がバイリンガルの人の言語能力を表していて、波線のうえに突き出ている部分は実際に耳にしたり目にする言葉をさします。 

注目してほしいのは波線の下の部分!

共通言語能力はしっかり存在している

私たちが日本語を使っていようが英語を使っていようが、ものの考え方とか、今まで築いてきたさまざまな体験は共通に存在しているのです。でも、言葉の裏にある考えやその人が持つ知性や判断力などは、海面下にある氷山と同じように目には見えません。

この目には見えない「知的な部分」のことをカミングスは「共通言語能力」と呼びました。この「共通言語能力」は日本語でも英語でも共通しているので、日本語で身につけたことを英語でも活かすことができるのです。

つまり、日本語でしっかり思考する力が身についていれば、その考える力を英語を使うときに活かすことができるわけです。

理由その3:「言いたいこと」は日本語で作るほうがラクだから

しかし、ここで問題になるのが「はたして日本語でしっかり考える力が身についているのか?」ということです。

悩む人、考える人

あなたは「日本語で考える力」に自信がありますか?

あなたは「言いたいこと」がしっかり整理されている、と自信をもって言えるでしょうか?以前の私は、おしゃべりしながら、何を話そうとしたのかわからなくなることがありました。自分が言いたいことが、ちゃんとまとまってなかったんですね。

頭の中が整理されていない
頭の中がぐちゃぐちゃ…

自分が言いたいことは何か?という要点を意識することがなかったからです。

言いたいことの要点を意識する、というのは論理的な考え方につながります。

「論理的」と言われると「むずかしい」と感じる人がいるかもしれません。でも、「話の筋が通っていること」と言われれば「ああ、そうか」と、心にスーっと入ってきませんか?

英語では「わかりますか?」「理解できますか?」を

Does it make sense to you? といいます。

文字通り訳せば「それはあなたにとって筋が通ってますか?」という意味です。「筋が通っている」ことが「わかる、理解できる」ことなんですね。

相手に何かを伝えるとき、一番伝えたいこと(要点)から言う。理由や説明はその次です。

英語が話せるようになりたいなら、まずは日本語で言いたいことの要点を意識するクセをつけましょう。

自分の頭の中が日本語でもうまく整理されていない、ということに気づいた人は、まず日本語で考える力を鍛えましょう。

自分が言いたいことの要点は何か?を意識しよう!

日本語の軸がしっかりしているあなたが英語力を身につける近道は、無理して日本語を頭から締め出して、英語脳になることではありません自信をもって操れる日本語で自分の意見をまとめて、それを英語に置きかえるコツを学ぶことです。

まずは日本語で考える力をきたえましょう。英語について考えるのは、その次でいいのです。

英語のプロが説く「日本語の大切さ」

英語に関しての本は、かなり読んでいる私。その中で、「日本語の大切さ」に言及した本をご紹介します。

「出世する人の英語 アメリカ人の論理と思考習慣」小林真美著

出世する人の英語

ビジネス英語のコミュニケーション指南書である「出世する人の英語」です。アメリカ人の考え方・価値観を理解することに重きをおくべきだ、という点には私も完全に同感。

さらに強く共感した部分はこちら▼。

コミュニケーションで求められるのは、ネイティブ並みの英語力ではなく、「相手に伝わる話し方」と「話の中身」です。もし今、英語力が少し足りないのなら、これから身につければいいだけのことです。

私は常々、日本人は英語についてコンプレックスを持ちすぎではないかと感じています。

言語力について最も重要なポイントは何かといえば、それは「母国語をベースにして、思考力や知性を十分に発揮できるか」です。

私の息子たちは、一時期、海外のインターナショナルスクールで学びました。当時、あまり英語力が伸びないことが気になり、ノンネイティブの子どもたちに30年以上も英語指導をしてきたベテランの先生に相談したことがあります。

そのとき、「一番大事なのは、家で日本語を話し、日本語の本をたくさん読むことだ」と言われたことは、今でも忘れられません。

「子どもの知性は、母国語によって育ちます。その知性があってこそ、第二外国語としての英語も吸収できるようになるのです」というのが、その先生の教えでした。

(中略)

みなさんが、日本語できちんと思考する力を持ち、またビジネスの豊富な知識や経験があるなら、たとえ今、英語力に難があっても、気にする必要はありません。

(太字と下線はNaoko)

「出世する人の英語 アメリカ人の論理と思考習慣」(幻冬舎新書)
終章「バイリンガル」はすごくない!より

インターナショナルスクールのベテランの先生の言葉が、深く心に刺さります。言いたいこと、伝えたいことを、しっかりと母国語でまとめることができていれば、英語はついてくるのでしょう。

英語は流暢さよりも日本語でしっかりと思考する力が大切だ、という言葉。心強いですね。

著者の小林真美さんとは英語を教えるグループで出会って、実際にお食事を数回したことがあります。すごく知的でステキな方ですよ!

おまけ

さらに、アメリカ人にとっての重要性を知っておくべき言葉である Integrity がある、という指摘(27page)にも激しく同意しました。”Integrity”という言葉は、映画にもよく出てくるのです。アル・パチーノ主演の「セント・オブ・ウーマン/夢の香り」(1992年)のクライマックス場面に出てきますよ。よかったら観てください!

邦題「セント・オブ・ウーマン/夢の香り」孤独な盲目の退役軍人と心優しい青年の心の交流を描き、アル・パチーノがアカデミー主演男優賞に輝いたヒューマンドラマ。

まとめ

いかがでしたか?

いきなり「英語脳」をめざさなくていい理由を理解していただけましたでしょうか?今からすぐに日本語で言いたいことの要点を意識しましょう。

日本語での思考力を鍛えれば、ムリなく、確実に、強力な英語の土台ができます。

Thank you for reading!

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