今回は1880年代のNYを舞台にしたTVドラマ「ギルデッド・エイジ〜ニューヨーク黄金時代〜」をご紹介します。
経済が急速に発展をとげた1880年代のアメリカ。父の死後、ニューヨークへ移り住み、裕福な叔母のもとに身を寄せるマリアン・ブルックが、保守的な上流階級の叔母と、鉄道王として巨万の富を築いた隣人のラッセル夫妻の間の争いに巻き込まれていく。
従来の価値観と新たな価値観が衝突し、瞬く間に富が得られ同時に失われる時代のなかで、マリアンは、既存の社会のルールに従うのか、それとも自ら新しい道を切り拓くのか…?
(公式ページより)
見どころ
舞台は1880年代のニューヨーク。大陸横断鉄道が敷かれ、電気が普及し、工業化、都市化、資本主義化が急速に進んだ時期です。
副題に「ニューヨーク黄金時代」とありますが、このドラマのタイトルは、goldではなく gilded。 つまり「金ピカ」とか「金メッキ」という意味。上辺ばかりを取りつくろう、表面だけの、という否定的な意味合いを含んでいる言葉です。
金ぴか時代(きんぴかじだい)、ないし、金メッキ時代(きんメッキじだい、英: Gilded Age, Gilded Era)は、1865年の南北戦争終結から1893年恐慌までの28年間、あるいは特に1870年代と1880年代をさし、アメリカ合衆国において資本主義が急速に発展をとげた時代である。いわゆる「西部開拓時代」とほぼ重複する。
拝金主義に染まった成金趣味の時代として扱われることが多く、政治腐敗や資本家の台頭、経済格差の拡大を皮肉った文学者、マーク・トウェインらによる同名の共著小説に由来する。
私はこのタイトルで、初めて gilded という言葉を知りました。映画やドラマを通じてだと、新しい単語も頭にしみつきやすいですよね。
製作総指揮はイギリスのドラマ「ダウントン・アビー」を手がけたジュリアン・フェロウズ。「ダウントン・アビー」の衣装やインテリアの美しさには息を呑みましたが、このドラマもさらにグレードアップしています。
それに加えて、登場人物がみな個性的で人間くさい(ホメてます)。貴族的な生活をしている上流階級、彼らに仕える使用人たちの区別ははっきりしています。でも1880年代のアメリカでは、才能とビジネスの才覚があれば、のしあがれる時代になっています。
応援したくなる野心家のバーサ
新興成金の代表、鉄道王ジョージ・ラッセルの妻バーサが実にいい!
非常に野心家で、あの手この手を使って社交界に食い込もうと策略を巡らせます。しかし「オールド・マネー」の夫人たちは手強くて、しかも意地が悪い。バーサの目論見はことごとくはねつけられてしまいます。
でも負けん気が強いバーサは、少々のことではへこたれません。ジョージとバーサは強い愛情で結ばれていて、互いに助け合い、励まし会うんですね。負けん気が強く、少々のことではへこたれません。ジョージとバーサは強い愛情で結ばれていて、互いを助け合います。NYの上流階級を牛耳っている女性にひどい仕打ちをされても、なにくそ!と立ち向かっていきます。
バーサが社交界に受け入れてもらうために苦労しているのを知っている夫ジョージが、バーサをなぐさめます。そんな夫に対して、こう言う場面がありました。
たしかに!と膝を打つセリフですよね。
このラッセル家は、ニューヨークの大富豪ヴァンダービルト家をモデルにしているそうです。
自然体のマリアンにも注目
主人公マリアンを演じるのはメリル・ストリープの三女ルイーザ・ジェイコブソン。
物腰は柔らかいですが芯の強さを感じさせてくれます。古い慣習にしばられず、自然体で物事に向き合う姿がとても新鮮。
単語やフレーズをメモする喜び
1880年代が舞台なので、使う英語が古い登場人物もいますが、そこがまた味わい深い!
知らない単語やフレーズが出てくると、私は喜んでメモっています。ストーリーの場面で覚えるというのは、本当に効果のある覚え方だと実感していますよ。
New York Times社に電気を灯したエジソンの点灯式のエピソードなど、歴史的な出来事が折りまぜられているのも実に興味深いです。
このドラマを知ったきっかけ
私がこのドラマの存在を知ったのは、エンタメ翻訳家ミステリーパロットさんの著書「ネイティブの真意がわかる 日本人が誤解する英語」でした。
「名の通った資産家や名家出身の女性」という意味の ”Socialite” という言葉の解説の最後に、socialiteの世界に焦点をあてたドラマとして紹介されていました(196ページ)。
いやはや、いいドラマを紹介してくださってありがとう!とミスパロさんにお礼を言いました。
ミステリーパロットさん関連の記事は、一番最後にまとめてあります!
第3シーズンは3月から放映予定とのこと。今からワクワクして待っています♡
原題:The Gilded Age
製作年:2022
1話の長さ:46-80分
ジャンル:歴史ドラマ
原案・脚本:ジュリアン・フェロウズ
監督:マイケル・エングラー、サリー・リチャードソン
主演:キャリー・クーン、モーガン・スペクター、ルイーザ・ジェイコブソン、クリスティン・バランスキ、シンシア・ニクソン