「えっ、何を言ってるの…?」
海外ドラマ「アウトランダー」を観ていて、ふと昔の自分と重なるシーンに出会いました。
言葉がまったく通じない場所に、ぽつんとひとり。
相手は話している。でも、自分には“ただの音”にしか聞こえない——。
それって、まさに英語を学んでいる多くの日本人が感じる「リスニングの壁」じゃないかな、と思ったからです。
「アウトランダー」について

1945年の第二次世界大戦の従軍看護師だったクレアが、1743年のスコットランドにタイムスリップしてしまう物語。
看護師のクレア(カトリーナ・バルフ)は夫とスコットランドのハイランド地方で休暇を過ごしていましたが、途中に訪れたストーンサークルで、一人200年前にタイムスリップしてしまいます。たどり着いた先は、スコットランドとイングランドの緊張が高まっている1743年。
イギリス側のスパイではないかと疑われたクレアは、医療の知識を駆使して信頼を得ながら未来に戻る方法を模索します。1945年の世界に残した夫のことを思いながらも、困難な時代を生き抜くためにスコットランドの戦士ジェイミー(サム・ヒューアン)と結婚することになりますが…。
このドラマシリーズは、アメリカの人気作家ダイアナ・ガバルトンの世界的大ベストセラー「アウトランダー」シリーズの実写化です。
自らの手で人生を切り開こうとする主人公クレアの姿に共感する女性が続出(私もその一人!)。クレアを支える年下のスコットランド戦士ジェイミーを演じるサム・ヒューアンの人気がエピソードが進むごとに急上昇しています。
クレアが現代と過去の“愛”と運命に翻弄されるラブロマンス要素はもちろん、イギリスとスコットランが対決する歴史的背景も重要な要素です。裏切りや陰謀、さまざまな謎も絡んだ展開に夢中になるファンが続出しています。

「ゲーム・オブ・スローンズ」と同じく、エロ、グロ、バイオレンスの要素がしっかり入ってます!
突然、言葉が通じない世界に放り込まれたら?
1945年から200年前のスコットランドにタイムスリップしたクレアが直面するのは「言葉の壁」。


彼らが話すのは、スコットランドのゲール語。彼女にはまったく理解できません。
周囲の人の言葉がわからない。何をされるのかも予想がつかない。
その不安や孤独感は、胸が苦しくなるほどリアルでした。
アメリカでの英語字幕にはゲール語の字幕がまったくつかないんですよ。だからゲール語で会話しているときは、観客である私にも話の内容がまったくわからないのです。



きっと日本語字幕ではイタリック体で字幕が出たんだろうなぁ、と想像しますが…
だからこそ余計にクレアの気持ちが痛いほどよくわかる!
何言ってるのかぜんぜん分からないよ!だれか通訳してよ!
という感じでした。
「アウトランダー」のワンシーンに、昔の自分を見た
私自身、サンディエゴに移住したばかりのころ、レストランや病院で何を言われたかがわからなくて、何度も聞き返したものの、わからないままに終わったことがあります。
特に電話での聞きとりには本当に苦労しました。
移住する前に行ったニュージーランドの旅行では、レンタカーを借りようとしたときのことも忘れられません。受付のお兄さんの英語がまったく聞き取れなかったんです!ニュージーランドのアクセントが強かったこともあるでしょうが、その聞き取れなさに愕然としました。
「ああ、聞こえないって、こんなに怖いんだ」
クレアの戸惑う顔を見て、あの頃の自分がふっとよみがえってきました。


英語が聞き取れない理由とは?
単語や文法の知識だけでは足りない
英検やTOEICの点数は高かった。だけど、英語が“聞きとれない”。
そんな経験、ありませんか?
実は、リスニング力には「知識」とは別のスキルが必要なんです。
聞き慣れない音は、脳が“意味ある音”と認識できない


脳は「聞き慣れた音」しか言語として処理できません。
英語の音を“たくさん聞く”ことで、少しずつ「意味のある音」に変わっていくんですね。
だからこそ、聞き流しではなく、「意味のある音として聞く」ことが大切。そして「聞き慣れた音」になるぐらいに、英語を聞く時間を増やしましょう。


アイルランド🇮🇪に25年暮らしている人には聞こえる!
2000年からアイルランド在住、アイルランド公認ナショナル・ツアーガイドである山下直子さんのブログには、こんなことが書かれていました。
シーズンのはじめの方では、ジェイミーたちスコットランド人は日常会話をゲール語でしていて、アイルランドで話されるゲール語(アイルランド語)とも共通しているので、「アガス(=英語のand)」、「スローンチャワ(=乾杯)」、「イーハワ(=おやすみ)」、「ウィシュケバハ(=ウィスキー)」など、私でもわかる単語が飛び出すのも嬉しい。
基本的な語彙であっても、わかる単語があるというのは嬉しいですよね!


「アウトランダー」で英語耳を育てる方法
もしこの「アウトランダー」がすごく気に入って、何回も観ることに抵抗がない場合は次の方法をオススメします。


日本語字幕 → 英語字幕 → 字幕なしの順でチャレンジ
いきなり字幕なしはハードルが高いので、やめましょう!
下の順番で試してみてください。
内容が理解でkれば、もちろん吹き替えでもいいです。
耳から聞こえる音と、英語字幕のつづりを確認しましょう!
これはかなり上級者向けなので、やらなくてOK。
特に2番目の【英語字幕で“音と文字”を結びつける】が大切です。
英語耳を育てるためのオススメ習慣
実をいうと、映画やドラマを「英語学習のために観る」というのはオススメしていません。



映画やドラマを英語学習のために観ると、とたんにつまらなくなるからです!
映画やドラマを英語のまま楽しむためには、何より英語のボキャブラリーを増やすことが大事です。そのために私がすすめているのは、洋書をオーディオブックを聞きながら読むこと。
毎日15分、洋書をオーディオブックを聞きながら読むことを習慣にしましょう。英語の発音とつづりを結びつけるため、語彙を増やすために、最も効果的です。


聞き取れるようになってきたクレアのセリフ
第1シーズンの5話で、少しずつではあるけれどゲール語を理解しつつあるクレアのセリフがあります。
Well, I’ve picked up enough to understand what “Long live the Stuart” sounds like.
少なくとも「スチュアート王家、万歳!」ぐらいはわかるようになったわ。
これは、言葉が100%わかるわけじゃない。 でも、“何度も耳にしてるうちに”意味がなんとなくつかめてきた、というセリフです。



耳が音を拾う(= pick up)という表現を覚えておきましょう!
まさに、「英語耳」が育ち始めるリアルな瞬間。
リスニングは、「一語一句聞き取れないとダメ」じゃない。まずは、「あ、このフレーズ、何度も出てくるな」と気づくところから始まるのです。
“意味のある音”に変わるまで、繰り返し耳に触れることが何よりのトレーニングです。


まとめ|聞き取れると会話が広がる!
「聞こえる」ようになると、自信が生まれます。
そして、相手の言葉に反応できるようになって、会話が広がります。
クレアのように、最初は戸惑っていても、少しずつ言葉をつかみ、自分の居場所を見つけていく姿に、私たちも勇気をもらえます。
“英語を聞き取れるようになりたい”と思うあなたの英語耳は、必ず育っていきます。
英語を聞きながら読む習慣、ぜひスタートしてくださいね!



