今回は、40〜50代以上の英語学習者で「リスニングが苦手」という悩みを持つ方のために、英語が聞き取れない原因とリスニング力をあげる3つの極意をお伝えします。
もう40, 50を過ぎたら英語の聞き取りなんて無理なんじゃないの?とあきらめる必要はありません。50才以上からでも英語が聞き取れるようになる効果的な解決法をお伝えしますので、ぜひ最後までおつきあいください。
英語が聞き取れない3つの原因
なぜ英語を聴き取れないのか?
まずはその大きな原因を3つお伝えして、最後にリスニング力アップの極意を3つお伝えします。
原因1:ローマ字読みで覚えている
日本では、英語をローマ字読みしたカタカナ英語が広く使われています。
日本で使われているヘボン式ローマ字の創始者であるヘボン(1815~1911)の姓は,英語で書くとHepburn で,女優のオードリー・ヘップバーンと同じスペルです。
ローマ字の Hepburn を、自分でヘボンと書いたように,そのほうが Hepburn に近い発音なのです。つまり,ヘボンは発音重視で,ヘップバーンはスペル重視なんですね。
日本でふつうに使われているカタカナ英語を、発音重視にしたらこうなる、という例をあげますね。
- エネモウ
- ワウラ
- ミウク
- エポウ
ちょっと大げさにしていますが、だいたいこんな感じ、ととらえてくださいね!
エネモウは、動物を意味するanimal。スペル重視のローマ字読みがアニマル。
ワウラは、水を意味する water。スペル重視のローマ字読みがウォーター。
ミウクは、牛乳を意味する milk。スペル重視のローマ字読みがミルク。
エポウは、りんごを意味する apple。スペル重視のローマ字読みがアップル。
発音重視のカタカナが、ネイティブの発音に近いのです。
それを知らないと、エネモウ、ワウラ、ミウク、エポウという音が聴こえても、それがanimal, water, milk, apple という言葉につながらないのです。
日本で使われているスペル重視のローマ字読みが、そのまま英語の発音である、と考えてはいけません!必ず発音をチェックしましょう。
ジョン万次郎の話
ジョン万次郎の話を知っていますか?江戸時代後期、少年だったジョン万次郎は漁にでていて遭難し、捕鯨船に助けられてアメリカに渡りました。英語を耳で聴いて育った彼は、英語を聴こえるままにカナに置き換えていきました。
「ホッタイモイジルナ What time is it now?」は有名です。
日本に帰国してから、万次郎は日本初の通訳として活躍し、福沢諭吉にも英語を教えています。
「メリケン粉」や「パテ」などは、American/puttyを耳で聴いたそのままをあてたわけです。
ヘボン式ローマ字が蔓延する今の日本であれば「アメリカン粉」「パッティー」と書いていたでしょう。
ずっと使っているうちに、その言葉がしみついてしまうことは仕方ありません。いかに、ふだんよく目にしたり耳にしたりすることを覚えてしまうか、ということです。
だから、これからは今よりも英語を読んだり、聴いたりすることを増やしていきましょう。
オススメの本
これに関しては、脳科学者の池谷(いけがや)裕二さんの著書「怖いくらい通じるカタカナ英語の法則~ネイティブも驚いた画期的発音術~」が非常に面白いです。池谷さんが自分が話す英語をネイティブに聴き取ってもらうための苦肉の策として編み出した、ユニークな法則がのっています。リスニング力アップのためにも非常に役にたつ本です。
原因2:語彙が足りない
英語がききとれない2つ目の大きな原因はボキャブラリー不足。
つまり語彙が足りない、ということです。
知らない言葉は、聴いても読んでもわかりません。まさに右から左に抜けてしまいます。
おそらくみなさんは英語をある程度勉強してきた、ブランクはあれど基本の英語知識は持っている、という方が大半だと思います。
言葉というのは使わなければどんどん忘れてしまいます。使えば使うほど記憶に残るわけです。
語彙を増やすといっても、受験勉強みたいに、ねじり鉢巻で難しい単語を覚えなさい、ということではありません。まずは、高校までに習う基本的な語彙を思い出すような気持ちで復習してみましょう。
英語に限らず、母国語以外の言葉を学ぶにあたっては、ボキャブラリーを増やすことがキモです。語彙を増やすことには終わりがありません。だからこそ楽しいとも言えるのですが…自分が「楽しい」と思える方法を探しましょう!
原因3:英語の構文に慣れていない
日本語と英語のいちばんの違いはなんだと思いますか?
それは語順です。
日本語は「てにをは」があることで、語順がとてもゆるやかです。
逆に英語は「てにをは」がないので、語順に厳しい言葉なんです。
語順が「てにをは」の役割を果たしている、と言えます。
英語は主語+述語+目的語+追加情報の順が絶対です。
だから最初のうちは、主語+述語+目的語だけは聴き取る、と目標をたててもいいかもしれません。大事な部分、要点だけ聴き取るに徹する。
だんだん聴き取れるようになってきたら、追加情報も聴き取るようにがんばりましょう。
50才からでも遅くない理由
40代50代からの英語学習は、脳の認知機能向上に効果があります。
2つの言語のスイッチを切り替えることは脳トレとなり、脳機能の低下を防いでくれる効果がある、と研究でわかっています。
いかに英語を使う頻度を増やすか、今回のテーマでいえば英語を聴く時間をふやすことが大事。
どうせ聴き取れない、とあきらめていたり、頭が英語を受け付けない、と最初っから耳を閉ざしていたら、成長できません。
母国語とは違う、普段 接しない音の聴き取りをすることで耳がよくなったり、日本語にない音を発音することで普段使わない筋肉を鍛えることもできます。
だから50歳すぎていたって、遅すぎることはないのです!
なぜ自分は英語を聴き取れないのだろう?を考えて、原因をつきとめましょう。原因がわかったら、あとは改善していくだけです。
リスニング力アップの3つの極意
ではいよいよ、リスニング力をアップさせる3つの極意をお伝えします。
極意その1:英語を聴く時間をふやす
英語がききとれない原因1で、ローマ字読みで覚えているという話をしました。
人間は、ふだんよく目にしたり耳にしたりすることを自然と覚えてしまうんですよね。
だからこの習性を、リスニングにも活用しましょう!
言葉は、読めば読むほど、聴けば聴くほど、頭に入ってきます。
今よりも英語の文字を目にしたり、耳にしたりすることを増やしましょう。
つまり自分を英語にさらす時間を増やす のです。
英語が聴き取りたいと思うなら、毎日15分は英語を聴きましょう。必ず、スクリプトがあるものを選ぶこと。
この言葉はこうやって発音するんだ!と理解しながら聴きましょう。
YouTubeの動画でも、英語字幕を出す設定にして聴きます。聴きとれなかったら言葉をチェックして意味と発音を調べます。
私は映画化された洋書を読みながらオーディオブックで聴くことをおすすめします。
オーディオブック活用法については下の参考記事をどうぞ!
極意その2:高校までの基本語彙を覚える
語彙を増やすといっても、むずかしい単語をむやみに覚える必要はありません。
高校までに習う語彙の意味と発音をしっかりおさえましょう。
今のオンライン辞書であれば、必ず発音が聴けるはずです。
私が心からおすすめする無料サイト「天才英単語」でも、発音を聴くことができます。耳を澄まして、発音を聴きましょう。
【天才英単語】の詳しい使い方は下の参考記事からどうぞ!
ミステリーパロットさんの著書からの例
ネイティブがよく使う基本動詞は、よく使われるからこそ応用範囲が広いんです。いろんな意味で使われるとを覚えておきましょう!
エンタメ翻訳家のミステリーパロットさんの著書「ネイティブの真意がわかる 日本人が誤解する英語」から例を2つ引用します。
【031】に紹介されているフレーズ
I don’t buy it.
それは本当とは思えない、信じられない
95ページ
Buyという動詞は「買う」という意味で覚えていると思います。でも「I don’t buy it.」というと「そんなことは信じない」という意味になります。
【035】に紹介されているフレーズ
How do I put this?
なんて言えばいいかな
104ページ
Put も「置く」という意味で覚えているかもしれませんが、この例文だと「言葉にする、表現する」という意味になります。
むずかしい単語を覚えるよりも、ネイティブが毎日のようによく使う基本動詞の使い方をマスターするほうが、リスニング力アップの助けになります。
そして大事なのは、その単語やフレーズを発音してみる、使ってみる、というアウトプットです。
極意その3:集中する
スマホが手の一部になってる現代社会では、気を散らすものがたっくさんあります。次から次へとお知らせが届きます。
だからこそ、英語に向き合うときは、英語だけに集中しましょう。
1日15分が無理なら、まずは1日5分からスタート。その5分は、英語を聴きながら読むことだけに集中。
YouTubeを見るのが好きならYouTubeで。podcastが好きなら、しゃべっている内容が英語で手に入る番組を活用しましょう。
だんだん慣れてきたら、1話が20分ぐらいの短いドラマを見るのも楽しいです
興味がある話題、好きな俳優などで検索してみて、英語字幕を出しながら観ましょう。
自分はできると信じる
世界的に有名な脳トレコーチ、ジム・クイックの言葉を紹介しますね。
「これ以上良くならない」と思い込んでいたら、実際によくなることはない。「できる」と信じずに何かを成し遂げるのは、そもそも恐ろしく難しいのだ。
LIMITLESS 超加速学習ー人生を変える「学び方」の授業
まとめ
英語のリスニング力をきたえる方法をまとめます。
- 極意1:英語を聴く時間をふやす
- 極意2:高校までの基本語彙を覚える
- 極意3:集中する
そして「自分を信じる」こと。
あまりにも基本的すぎて驚いたかもしれませんが、英語学習の基本は、自分はできると信じながら、コツコツと努力を続けることです。
最後までお読みくださり、ありがとうございました!
Happy learning!