1本の映画がきっかけでアイルランドに興味をもち、調べるうちにすばらしいブログに出会い、どんどんアイルランドとスコットランドの映画とドラマを観るようになった、というお話をします。
きっかけとなった1本目の映画”Small Things Like These”
アイルランド映画に足を踏み入れることになるきっかけは、映画「オッペンハイマー」でアカデミー主演主演男優賞を獲得したキリアン・マーフィー主演の”Small Things Like These”を観たこと。

1980年代のアイルランド南東部の小さな町が舞台です。キリアンが演じるのはビル・ファーロングという複雑な生い立ちを背負った男性。家族思いの実直な石炭売りのビルが、クリスマスが近づくある日、マグダレン修道院の恐ろしい内情を垣間見てしまって行動を起こす…というストーリー。
マグダレン修道院(マグダレン収容所)というのは、1996年までアイルランドに実在した修道院。当時のアイルランドで支配的だった厳格なカトリックの戒律に基づき、婚外交渉によって妊娠した女性などを強制的に収容していた場所です。
この話は、ジュディ・デンチ主演の映画「あなたを抱きしめる日まで」(原題:Philomena)と、洋書”Lessons in Chemistry”(和訳本「化学の授業をはじめます。」)で知ってはいました。


でも、なんとなく、という知識だけでは理解しえない内容の映画だったのです。
だから、いろいろと調べまくりました。
アイルランド公認ナショナル・ツアーガイドのブログを発見!
調べるうちに行き着いたのが、アイルランド公認ナショナル・ツアーガイド・山下直子さんのブログです。

原作が素晴らしい、ということもこの記事で知りました。
マグダレン修道院(洗濯所)についても、こんな解説があって分かりやすかったです。
マグダレン洗濯所とは、未婚で身ごもり「(性的に)堕落した」との烙印を押された女性たちが家族からも社会からも引き離されて収容された、かつてアイルランド各地に存在した施設のこと。家事の中でもっとも肉体を酷使する洗濯労働をすることで、「罪を洗い清める」ことを意味したと言います。
最後の1軒が閉鎖されたのは1996年ですから、80年代にはまだまだ身近に存在し、人々は恐ろしい内情を知りながら見て見ぬふりをしていたのです。
このブログが面白くて、がぜんアイルランドに興味がわいちゃったんですよ!
2本目の映画はシアーシャ・ローナン主演の”The Outrun”

山下直子さんは映画をよく観られるようで、映画についての記事がたくさんあります。紹介されていた映画の1つが、この”The Outrun”でした。
ロンドンで自暴自棄な暮らしをしてきた29歳のローナが、アルコール依存症を克服するために故郷スコットランドのオークニー諸島へ戻り、荒々しい自然の中で静かな暮らしを営みながら自分を取り戻していく物語。
映画「つぐない」(原題:Atonement)で観たときから大好きな女優、シアーシャ・ローナンが主演だった、というのも選んだ理由です。

イアン・マキューアンの小説”Atonement”の映画化。これまたすばらしい映画なんですよ!キラー・ナイトレイとジェームズ・マカヴォイ主演。


シアーシャ・ローナン(Saoirse Ronan)という名前は、英語だけを見るとどう発音したらいいのかわからない名前です。何度も「シアーシャ、シアーシャ」と念仏のように唱えないと覚えられそうにありません。


心に残ったセリフ紹介
アルコール依存症を克服しようとしているローナに、近所にある雑貨店のご主人がこう言います。彼自身も昔アルコール依存症だったので、ローナの苦しみがわかるのです。


It never gets easy.
It just gets less hard.
(酒を断つことは)決してラクにはならない。
ただつらさが少しやわらぐだけだ。
シンプルなんだけど、胸を突かれるセリフでした。
圧巻のラストシーン
そして最後のシーンが圧巻なのです!私は感動の涙があふれて止まりませんでした。どうしたらこの気持ちを言葉にできるだろう?と悩んでいましたが、山下直子さんが見事に表現してくれてました。
エンディングはシアーシャ(ローナ)の地球交響曲みたいな不思議な終わり方でした
そう、まさに「地球交響曲」のようでしたよ!
なんというか、心のコアの部分に響いてくる終わり方。私はしばらく呆然としてました。
3本目は「ベルファスト」
この後、北アイルランド紛争が激化し始めた1969年のベルファストを舞台にした映画「ベルファスト」を観ました。ケネス・ブラナー監督の自伝的映画です。


1969年、北アイルランド紛争が激化し始めた頃のベルファーストで、プロテスタント系労働者階級の居住区に暮らす9歳のバディ少年とその家族を取り巻くストーリー。
この映画に母親役で出ていた女優さん、カトリーナ・バルフ(映画ポスターの一番右)がとてもステキだったんです!
山下直子さんが2024年に一気に観たという「アウトランダー」の主演だと知り、私も「アウトランダー」を見始めました。



もうすっかり山下直子さんファンですわっ!
今は大人気の歴史ファンタジードラマ「アウトランダー」


第2次世界大戦後まもない1940年代の英国。新婚旅行でスコットランドを訪れたイングランド女性クレアが、古代のストーンサークルの巨石に触れたとたん200年前にタイムスリップしてしまうという歴史ファンタジー・ドラマ。夫のある身でありながら、キルトを身にまとう赤毛のスコットランド人男性ジェイミーと運命的な恋に落ちるクレアですが、ときは18世紀、古代ケルトの末裔であるクラン(氏族)が群雄割拠していた時代。クラン内の争いや、イングランド軍との熾烈な戦いに巻き込まれ、時代の波に翻弄されていく…という、時空を超えた大河ドラマ。
いやはや、これがめっぽう面白いんですよ!「ゲーム・オブ・スローンズ」を彷彿とさせる、エロ・グロ・暴力がてんこもり。
私といえば、ジェイミーの胸板の厚さにいつも圧倒されております。
まとめ
映画の内容をもっと深く理解したい、歴史的背景を知りたい、という知的好奇心は、生きる上での大事なエネルギーです。
東野圭吾さんの著書「真夏の方程式」で、ガリレオこと湯川博士がこう言ってます。


あなたも、ご自分の好奇心や探究心を大切にしてください!
人生をどんどん豊かにしてくれる映画とドラマが、私は大好きです。
私のアイルランド・スコットランド熱はしばらく続きそう(笑)!
Thank you for reading!