映画は言語のフィルターが少ないほどいい〜東京滞在中に観たヨーロッパ映画4本〜

東京で観たヨーロッパ映画4本 (1)

2026年6月の日本滞在中、自分でもちょっと戸惑うくらい「映画が観たい!」という衝動に突き動かされた話をします。

目次

きっかけとなったのは、あるランチ会

きっかけは映画配給会社GAGA時代の友人と、ドイツ語字幕翻訳者の吉川美奈子さんとのランチ。

その場でデンマーク映画「さよなら、僕の英雄」の話が出て、吉川さんが字幕翻訳をされた作品だと知り、もう居ても立っても居られなくて(笑)。

「さよなら、僕の英雄」は、ヒューマントラストシネマ有楽町、という私の知らない映画館で上映されているので場所を調べました。

すると、なんと有楽町マルイの別館にあるというではないですか!

実はランチの翌日、有楽町マルイ5階にある店で顔の毛穴洗浄エステの予約をしていたのです。そこから1階下った連結ビルの4階にある劇場だったのです。

なんという偶然!「さよなら、僕の英雄」だけでなく、スペイン映画「シラート」、イタリア映画「ダイヤモンド 私たちの衣装工房」も上映されていて、別の日に観ました。

さらには、シネスイッチ銀座が秋に閉館してしまう、という悲しいニュースを知ったので、銀座で買い物をしていたときに立ち寄ってみました。そこで上映していたのがイタリア映画「ヴィヴァルディと私」だったのです。

なおこ

今回の滞在がいつもより長くて、ゆったり過ごす時間があったことも映画を4本も観ることができた理由です。

この4本を続けて観て、あらためて気づいたことがありました。

ずっと、もどかしく感じていたこと

アメリカで英語以外の映画を観るとき、ずっともどかしく感じていたことがあります。
 

デンマーク語でもイタリア語でもフランス語でもスペイン語でも、字幕は英語。つまり:

オリジナルの言語 → ❷英語 → ❸頭で理解


という流れになります。言語のフィルターが2つあるわけ。


この2重のフィルターが私には結構しんどい


映画音楽の巨匠エンリオ・モリコーネの自伝ドキュメンタリー『モリコーネ 映画が恋した音楽家』を観たときも、すごくもどかしくて「日本語字幕で観たい!」と痛切に思いました。

エンリオ・モリコーネ
これもGAGA配給!

それが今回、東京のミニシアターでヨーロッパ映画を日本語字幕で観られたので、内容がするりと頭と心に入ってきます。


言語のフィルターは少なければ少ないほうがいい、と心の底から思いました。

今回観た映画4本

各映画の内容をカンタンにご紹介しますね♪

デンマーク映画「さよなら、僕の英雄」

ヒューマントラストシアター有楽町にて鑑賞。

強盗事件での服役を終えたアンカーは、逮捕前に大金を預けた兄・マンフレルと15年ぶりに再会。しかしマンフレルはその隠し場所を忘れ、自分をジョン・レノンだと思い込んでいた……。生まれ育った実家の森に埋められているはずの大金を掘り起こそうとするも、どうにも見つからない。そこでアンカーは精神科医とともに、マンフレルの記憶を取り戻すためビートルズの再結成を決意。ところが現れたのは珍客ばかりで、事態は混乱の一途をたどっていく。

公式サイトより引用:https://cinema.starcat.co.jp/goodbye-myhero/

スペイン映画「シラート」

ヒューマントラストシアター有楽町にて鑑賞。

砂漠で行われるレイヴパーティに参加したまま失踪した娘を探すため、父ルイスと息子エステバンは、モロッコの山岳地帯から砂漠の奥深くへと車を走らせる。行き着いたのは、現実と幻覚が混濁するような野外レイのカオス。耳をつんざく重低音、赤い照明の海、沈黙を貫く父親の背中。だがそこにはすでに娘の姿はなく、父と息子は、レイの参加者グループを追って、娘が向かったと思われる次のレイ会場を目指すことになるが……。

公式サイトより引用:https://transformer.co.jp/m/sirat/

イタリア映画「ヴィヴァルディと私」

シネスイッチ銀座(2026年秋に閉館になってしまうそうです涙)にて鑑賞。

18世紀初頭、ヴェネツィアに実在したピエタ院は、 孤児や親に捨てられた子供たちを養育し、音楽を教えた。ヴァイオリン教師アントニオ・ヴィヴァルディの指導の下、 非凡な音楽の才能を開花させた一人の少女チェチリア。やがてヴィヴァルディの音楽と名声は欧州に鳴り響くが、 チェチリアは閉ざされた扉の向こうにある自由を求めた――。

公式サイトより引用:https://vivaldi.ayapro.ne.jp/

イタリア映画「ダイヤモンド 私たちの衣装工房」

ヒューマントラストシアター有楽町にて鑑賞。

1970年代、ローマ。カノーヴァ姉妹が経営する衣装工房では、年に一度の昼食会を控えてお針子たちが忙しく立ち働いている。パリで約束に現れなかった恋人の面影を振り切るかのように仕事に打ち込む姉アルベルタ、娘の喪失をお酒で紛らわせる妹ガブリエッラ。幼い息子を苦労しながら一人で育てる帽子担当のパオリーナ、夫の暴力に怯えるお針子のニコレッタ。彼らを見守り温かく美味しい食事を用意するシルヴァーナ。普段口にすることはないけれど、それぞれに事情を抱えている。ある日アカデミー賞受賞歴のある衣装デザイナーが新作の依頼に現れる。またとない機会とアルベルタは相談もなしに全ての衣装制作を引き受けるが、気難しい映画監督の高い要求に応えるため、工房の忙しさは増していく。才能に溢れ全てを手に入れているかのような衣装デザイナーでさえも時に自信を失い衣装制作は困難を極める。一人ひとりは、脆く不完全でも、力を合わせ支え合い、見たこともないような至高の一着を作ろうと女性たちはやがて輝き始める。

公式サイトより引用:https://child-film.com/films/diamanti

「字幕翻訳に戻ってきてください」

字幕翻訳時代に出会った言葉で、ずっと忘れられないものがあります。

最高の字幕は、字幕があったことを気づかせない字幕

観客が物語に夢中になって、あとから「あれ、字幕あったっけ?」となるくらいがいい、ということ。

吉川美奈子さんに「蒼井さん、日本に戻ったら、ぜひ字幕に戻ってきてください」と言ってもらえたことが、素直にうれしかったです。
 

なおこ

字幕翻訳者時代のペンネーム「蒼井尚子」を覚えていてくださるのは、吉川さんだけでしょう!「蒼井さん」と呼ばれるのは、こそばゆいけどうれしい(笑)。

字幕翻訳は、もうやめたつもりでいたけど、自分の可能性を閉じる必要はないな、と思いました。


13歳で字幕翻訳家になることを決め、28歳で独立。15年かけて叶えた夢です。

セリフを1秒4文字に凝縮するために七転八倒した時代をなつかしく思い出し、映画への情熱を再確認した日本滞在でした。

字幕翻訳家:吉川美奈子さんの関連記事

前回お会いしたのはコロナ禍の前、2019年。7年もの月日が経ってしまっても、変わらずに楽しくおしゃべりができることが心からうれしいです。

吉川美奈子さんについての関連記事、ぜひご一読ください♪

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