【洋書習慣】”The Brilliant Life of Eudora Honeysett” ― 心に刺さった5つの英語表現

The Brilliant Life of Eudora Honeysett

目次

2025年で一番よかった洋書


今回は、2025年に読んで一番よかった洋書、”The Brilliant Life of Eudora Honeysett”の中から、ぐっときた部分を紹介します。

「ユードラ・ハニーセットの素晴らしき世界」として和訳も出ていますので、ご興味ある方はぜひ読んでみてください。

【あらすじ】

舞台はロンドン。85歳のユードラ・ハニーセットはひとり暮らしの老婦人。家族はいません。楽しみといえばラジオとクロスワードパズル、そしてプールで泳ぐことくらいで、人づきあいもせず、単調な日々を送っています。周囲に向ける視線も態度も辛辣で、ちょっと気難しい老婦人。

日々思うように動かなくなる自分の体。このままだといずれ病院のベッドに寝かされ、死を待つしかなくなる。それなら自分の意志で人生を終わらせたい、尊厳を持って死を迎えたいと考えたユードラは、スイスのクリニックに電話をかけます。

そんなユードラの隣に、ある一家が越してきます。その一家の娘、10歳の少女ローズがユードラの生活をカラフルに変えていきます。さらには、近所に住むスタンレーという同年代の友人もできます。彼は最愛の妻を亡くして落ち込んでいて、記憶力も衰えつつあります。ローズとスタンレーの登場で、ユードラの生活は少しずつ変わっていきます。そんな現在進行形の展開と、ユードラの過去が交互につづられていきます。

ユードラは7歳の誕生日に、大好きな父から母と妹を頼むぞ、と言われます。戦争に行ってしまった父親との約束を守ろうと、繊細すぎる母と悪魔的にワルな妹のために自分を犠牲にしてきました。戦争で亡くなったお父さんとの思い出が、ユードラの心の拠り所なんですよね。

幸せとは何か?生きること、死ぬこと。人生で大切なことを考えさせてくれる、素晴らしい本です。

心に刺さった箇所を5つご紹介

この本の中で、私の心のささった箇所を5つ引用します。

1. ローズとユードラの会話

“You always say that.”
“Say what?”
“Very well. When you don’t want to do something but decide to go along with it to be polite.”


「いつもそう言うのね」
「何を?」
「『よろしい』って。本当はやりたくないけど失礼にならないために調子をあわせるときに


“decide to go along with it to be polite” の“go along with”は、「(自分の本心とは別に)相手の意見や提案に従う、話を合わせる」という意味の口語表現です。

「賛成する」というより「まあいいか、と受け入れる」というニュアンスが強く、ローズのセリフのように「本当はやりたくないけど、失礼にならないように調子を合わせる」という場面にぴったりの表現です。日常会話でとてもよく使われます。

2. ユードラとローズの対比

Eudora is everything Rose isn’t: old, disillusioned, and able to keep her emotions in check. Yet it’s not unpleasant having the child around. She is infuriatingly persistent but unrelentingly kind.

ユードラは、ローズとはまるで違う。年老いていて、理想にも幻滅していて、そして、自分の感情をきちんと抑えることができる。それでも――あの子がそばにいるのは、決して嫌ではない。ローズは、腹立たしいほどしつこい。けれど同時に、どこまでも、揺るぎなく優しい。

“Eudora is everything Rose isn’t.”は、直訳すると「ユードラは、ローズがそうでないもの全てだ」となりますが、つまり「ユードラは、ローズとはまるっきり正反対だ」という意味になります。”everything ~ isn’t”という形で、2人の人物の対比を一気に強調する言い回しです。

この文に続く”old, disillusioned, and able to keep her emotions in check”の中の“keep ~ in check”は、「(感情や行動などを)抑える、コントロールする」という意味の熟語です。”in check”はもともとチェス用語で「王手をかけられた状態」、つまり「動きを封じられた状態」を表します。そこから転じて、「感情を抑えて、暴走させないようにコントロールしている」というニュアンスで使われます。感情的になりがちなローズとは対照的に、ユードラが常に冷静で自分を律している人物であることが、この表現からも伝わってきますね。

3. ローズの人物描写

Rose may have the wearying positivity of a jack-in-the-box, but she is kindness personified.

ローズは飛び出す人形みたいに元気すぎて時には疲れるけれど、彼女は優しさのかたまりみたいな子だ。

“personify”は「(抽象的な概念を)人格化する、擬人化する」という意味の動詞です。“kindness personified”で「優しさが擬人化されたもの」、つまり「優しさそのものを体現したような人」という意味になります。「彼女はとても優しい」(“She is very kind”)と言うよりも、”kindness personified”の方が、まるで優しさという概念そのものがローズという少女の姿になって現れたかのような、詩的で強いイメージを伝えてくれます。

4. 普遍の真理

Human beings are only programmed to judge information based on their own experiences.


人間は、自分自身の経験にもとづいて得た情報でしか、物事を判断できないようにできている。

ユードラがそれまでの人生で学んできた知見、受け入れざるを得なかった痛みや悲しみを達観したような文章がそこここに登場します。ユードラという女性の生き方そのものが凝縮されているから、私は思わずうなって「本当にそうだよな」と共感してしまうのです。

5. 紅茶の淹れ方を教えるユードラ

“Now then, Rose. Place a tea bag in each mug and pour on the boiling water the second it boils. This is very important.”
“Aye aye, captain,” says Rose. She follows Eudora’s instructions with care. “Now what?”
“We allow it to steep for about three minutes, which means we leave the tea bag in the water to help the flavor develop.”

「さあ、ローズ。それぞれのマグにティーバッグを一つずつ入れて、お湯が沸いた”その瞬間”に注ぐのよ。これはとても大事なことだからね。」
「了解、船長!」
ローズはそう言って、ユードラの指示を注意深く守る。
「それで、次は?」
「三分ほど蒸らすの。つまり、味がしっかり出るように、ティーバッグをお湯の中にそのまま置いておくのよ。」

紅茶のシーンでは、“place”(置く)、”pour”(注ぐ)、”steep”(蒸らす)と、一連の動作を表す動詞が興味深いです。特に”steep”は、「茶葉やティーバッグをお湯に浸して、味や香りを出す」という意味の専門的な動詞で、日常会話ではあまり見かけませんが、紅茶や料理のレシピにはよく登場します。こうした「動作を表す動詞」は、レシピや手順を説明する英文を読むときにとても役立つので、意識して覚えておくと語彙の幅が広がります。

イギリス人って、本当によくお茶を飲むんだなぁと感心しました。さらに、イギリスの昔のデパートとか、家具のブランドとか、ロンドン生活に密着した単語が出てきて、アメリカとの違いにワクワクしました。

洋書・映画がつないだ旧友との絆

この本に関しては、京都に住む大学時代の友人が「自分も読んで感動した!」と言ってくれて、余計にうれしかったんです。この友人とは大学で同じテニスサークルだったのですが、学部が違ったこともあって、あまり距離は近くなかったんですよね。でも数年前に私の「ワンダー」という洋書を読み切る講座を購入してくれて、それからやりとりが再開しました!

映画オタクの私がおどろいてしまうほど、彼女も映画好き!そして英語にも通じている人なので、映画、本、その他もろもろのことを、卒業してから30年以上たった今、やりとりできるのがうれしくてたまりません。

やはり人生というのは、誰かと関わることによって色合いが鮮やかになっていきます。それを実感できるのが「ユードラ・ハニーセットの素晴らしき世界」。ぜひ手に取ってみてくださいね。和訳本が気に入ったら、ぜひ英語版も読んで英語を楽しんでみてください。

Thank you for reading!

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