どんな暗雲にも光は差し込む——映画『世界にひとつのプレイブック』より

Silver Linings Playbook 世界にひとつのプレイブック

silver_linings_playbook 世界にひとつのプレイブック

最近観た映画の中で群を抜いて心に残っているのが、『世界にひとつのプレイブック』(原題:Silver Linings Playbook)。

もう何度も観ている映画ですが、観るたびに違うツボを突かれて、そのたびに心が揺さぶられます。

目次

あらすじ

妻の浮気現場を目撃したショックから事件を起こし、精神病院で8ヶ月を過ごした元高校教師のパット(ブラッドリー・クーパー)。退院後、実家に戻った彼は「ポジティブ思考」で妻とのやり直しを目指すものの、感情のコントロールがうまく効かず、空回りばかりしていました。

そんなある日、パットは友人の夕食会で、夫を事故で亡くして心に深い傷を負った、過激で変わり者の女性ティファニー(ジェニファー・ローレンス)に出会います。

お互いに強烈で不器用な性格のためぶつかり合いますが、ティファニーはパットに「元妻への手紙を渡してあげる」という条件で、自分が出場するダンスコンテストのパートナーになるよう提案します。

こうして始まった猛練習。激しくぶつかり合いながらも練習を重ねるうちに、心に傷を抱えた2人の関係は少しずつ変化していく——そんな物語です。

派手な事件が起こるわけではありません。ただ、傷ついた人間が、もう一度自分の足で立とうとする過程が、ていねいに、かつコミカルに描かれています。

映画は、生きる指針のようなものを示してくれます。この作品では、今回紹介する2つの言葉がそれでした。

1:Every cloud has a silver lining.

直訳すると「どんな雲にも銀色の筋がある」。

分厚く、暗く垂れ込めた雲。その向こうには太陽があって、雲のすき間からわずかに光が差し込んでいる——そんな情景を思い浮かべてみてください。

これは「きっと大丈夫」という気休めの言葉ではありません。雲そのものはすぐには消えない。痛みも、不安も、しばらくはそこにあり続ける。それでも、目を凝らせばかすかに光が見える。そういう、静かな観察の姿勢を表す言葉です。

“Silver Lining”は17世紀の詩人ジョン・ミルトンの詩に由来していて、「暗い雲の”裏地(lining)”が月明かりで銀色に輝く」という情景が元になっています。このブログでは、「雲のすき間から差し込む光」という形で少し噛み砕いてご紹介しましたが、根っこにあるイメージは同じです。

2:Excelsior

ラテン語で「より高く」「さらに向上する」という意味を持ち、ニューヨーク州のモットーにも使われています。

Silver Lining が「見つけるもの」だとすれば、Excelsior は「歩き出す力」です。

光を見つけただけでは、人は前に進めません。かといって、前に進む意志だけでは、目指す方向がわからないまま歩き続けてしまう。

この2つが揃ったとき、初めて人は「再生」を始められるのだと思います。

パットは、混乱と痛みを抱えたまま、それでもティファニーとの関わりの中で少しずつ前を向いていきます。派手な奇跡は起こりません。ただ、光を探すことをやめず、前に進んだ。その積み重ねが、彼の物語そのものになっていました。

チャンスがあったら、ぜひあなたも『世界にひとつのプレイブック』(原題:Silver Linings Playbook)を観てくださいね。

最後までお読みくださり、ありがとうございました。

なおこ

そういえば、「エクセルシオール」って、日本ではカフェの名前としてもおなじみですよね。街中で何気なく目にしていたその名前に、こんな意味が込められていたなんて。日常に溶け込んでいる言葉ほど、掘り下げてみると発見があるものだと、あらためて感じました。

作品情報

原題:Silver Linings Playbook

公開年:2012年

長さ:122分

ジャンル:コメディ、ドラマ

監督・脚本:David O. Russell(デヴィッド・O・ラッセル)

原作:Matthew Quick(マシュー・クワーク)の同名小説

主演:Bradley Cooper(ブラッドリー・クーパー)、Jennifer Lawrence(ジェニファー・ローレンス)、Robert De Niro(ロバート・デ・ニーロ)、Jacki Weaver(ジャッキー・ウィーヴァー)

おまけ

この監督と主演2人の映画で、もう1本おすすめなのが『アメリカン・ハッスル』。1970年代後半にFBIが実際に行った囮捜査「アブスキャム事件(Abscam)」をモチーフにしたクライム・エンターテインメント作品です。

この作品についても、いつかお話したいと思っています♪

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